2023年度のVS9戦目、「ヴィーナスシリーズ第9戦 創刊30周年マクール杯競走(鳴門競艇一般)」がボートレース鳴門で開幕します。
公営競技のなかでも、最も女子選手の数が多く、そして男子選手に対して五分の勝負ができる環境にあるボートレース。それは同時に、女子リーグ戦のレースレベルが十分に高いものであり、ファンの強い支持を勝ち取ることにつながっています。
とはいえ、今回の舞台は、全国24場のなかでも「一筋縄ではいかない」特性を持つ鳴門水面。一流レーサーでさえ簡単に傾向を掴めない、小鳴門海峡がもたらす複雑な”うねり”を乗り越え、誰が優勝の栄誉を勝ち取るのか。
当記事ではシリーズ展望をお伝えするとともに、予想に役立つ今節の注目選手情報、さらには「2023年8月現在の鳴門の”今”」がわかる最新の水面特性を加え、舟券の的中率と回収率の向上にも役立つ内容となっています。
- これまでのヴィーナスシリーズの結果をおさらい!女子戦の”今”がわかる
- 今回の鳴門女子戦では誰が有望?注目したい選手をピックアップ!
- 鳴門水面は超ヤバイ!今や単なるイン受難水面ではなくなってしまいました
目次
ヴィーナスシリーズ第9戦 創刊30周年マクール杯競走(鳴門競艇一般)の詳細情報
回数(開催地) | 優勝選手 | 所属支部 |
第1回(福岡) | 西橋 奈未 | 福井 |
第2回(平和島) | 浜田 亜理沙 | 埼玉 |
第3回(若松) | 三浦 永理 | 静岡 |
第4回(蒲郡) | 三浦 永理 | 静岡 |
第5回(芦屋) | 後藤 美翼 | 東京 |
第6回(丸亀) | 守屋 美穂 | 岡山 |
第7回(桐生) | 守屋 美穂 | 岡山 |
第8回(住之江) | 鎌倉 涼 | 大阪 |
ヴィーナスシリーズは、1月から12月までの年基準ではなく、当年4月から翌年3月までの年度基準で実施されるシリーズ戦です。
参加資格はシンプルで、「選手登録から16年未満の女子選手」が基本です。競艇時代は「女子リーグ戦」という名称であり、現在も親しみを込めてその名前を使っているベテランのファンの方もいらっしゃいますね。
ただ、今回の出場選手一覧を見れば、日高逸子選手、山川美由紀選手、岩崎芳美選手と、登録が16年以上に渡るベテラン選手も名前を連ねています。これは、2020年度から設けられたオーバーエイジ枠の効能です。
こうした取り組みによって、ルーキーシリーズ、かつての新鋭リーグとの差別化を図るとともに、よりシリーズとしてのレベル向上が図られたと言えるでしょう。
昨年の鳴門のヴィーナスシリーズは8月末から9月初めにかけて行われ、優勝戦は2号艇2コースの今井裕梨選手がコンマ05スタートからの直まくりを敢行。これが見事に決まり、逆転優勝を成し遂げました。
一方、同じコンマ05スタートだった1号艇1コースの倉持莉々選手。最大のチャンスを掴みそこね、落水という非常に悔しい結末を迎えてしまいました。最後の最後まで、勝負はどう転ぶかわからない。そんな間違いのない事実が、強く示されたシリーズでした。
狂艇ギャンブラー真里谷のシリーズ展開予想
今年輝くのは、気鋭の上昇株か、熟練のオーバーエイジ枠か。ヴィーナスシリーズは女子の若手戦としての性格を残しつつも、OA枠のベテラン勢が”受けて立つ”構図をつくることで、シリーズ全体の予想に深みを出してくれています。
- 先日の「レディースチャンピオン2023(津競艇PG1)」では準優勝!川野芽唯が好調とともに鳴門へ参戦
- 地元支部のオーバーエイジ枠!岩崎芳美がホーム水面の守護女神となるか
- 2023年の今年まさに伸び盛り!浜田亜理沙がどんな戦い方でも魅せてくれる
ヴィーナスシリーズのみならず、男女混合のグレードレースでも主役を張れる、そんな3名をピックアップしました。予選から1着獲りの連発が期待される上位選手たち。最近の調子を軸に、それぞれの項目で解説していきます。
シリーズ展開予想①/先日の「レディースチャンピオン2023(津競艇PG1)」では準優勝!川野芽唯が好調とともに鳴門へ参戦
福岡の川野芽唯選手は、数多の名選手が集う福岡支部にあっても、決して見劣りしない逸材と呼べる女子レーサーです。「クイーンズクライマックス2015(福岡競艇PG1)」では、地元開催のプレミアムG1という晴れ舞台で、念願の初優出を達成しました。
さらには、その賞金女王決定戦で、なんと1号艇1コースの三浦永理選手が痛恨のコンマ02フライング。展開を突いた川野芽唯選手が、恵まれとはいえ29歳での賞金女王に輝いたのです。初優出からそのまま初優勝へ駆け上がる、シンデレラストーリーの達成と言えるでしょう。
そして、彼女がなおもすばらしい力の持ち主であることは、前節の「レディースチャンピオン2023(津競艇PG1)」で証明されました。2号艇2コースの遠藤エミ選手が、豪快な直まくりで1号艇1コースの平山智加選手を打倒したこのレース。川野選手も4号艇4コースから最善の選択をとり、見事に2着の準優勝に輝きました。
とはいえ、ここまで来たら優勝したかった。たとえ賞金を積み重ね、年末への展望が開けたとしても、久しぶりの劇的な歓喜を味わいたかった。川野選手なら、そう言うかもしれません。
なればこそ、今回の鳴門参戦には期待が掛かります。レディースチャンピオンの優勝戦では、川野選手のモーターは最も数字が悪かったものの、すばらしい立ち回りを見せました。整備技術と操縦技術、この2つが兼ね備わっている証拠です。鳴門へやってくるのは1年ぶりながらも、その時は1走を除いて3連対を確保。質の高い競走で、狙うは頂点になるでしょう。
シリーズ展開予想②/地元支部のオーバーエイジ枠!岩崎芳美がホーム水面の守護女神となるか
ホーム水面での利を生かすとしたら、地元徳島のA1級である岩崎芳美選手をおいて他にいないでしょう。この地元では60節走り、勝率6.54、優出18回、優勝4回と称賛するほかない立派な数字が並びます。彼女が相性抜群のホームで戦うというのですから、注目しないほうがおかしいとさえ言ってしまって良さそうです。
優勝からはしばらく遠ざかっているものの、今期A1級を手にしているとおり、一流の走りは健在です。3節前の「ヴィーナスシリーズ第7戦 第16回マクール杯(桐生競艇一般)」では、初日6着から挽回する予選通過、さらに優勝戦への進出を達成。
1号艇1コースの守屋美穂選手がコンマ09スタートを決め、その逃げを捉えるには至りませんでしたが、4号艇4コースからきっちり2着を確保の準優勝。50代になってもトップレーサーであり続けられるところを見せてくれました。
前回の優勝は、まさしくこのホーム水面で開催された「レディースオールスター2020(鳴門競艇G2)」でした。1号艇1コースの小野生奈選手がトップスタートを決めながらも、1周目1マークでまくってくる3号艇3コースの長嶋万記選手を気にしたか、懐が甘くなります。岩崎選手は、そこに絶妙な差しでもって飛び込みました。
大舞台での逆転優勝から、3年と5ヶ月。いつも明るい岩崎芳美選手が、再び地元徳島のファンの前で、歓喜の優勝を勝ち取るかもしれない。そういうドラマを予感させてくれる魅力もまた、岩崎選手の美点と言えるでしょう。
シリーズ展開予想③/2023年の今年まさに伸び盛り!浜田亜理沙がどんな戦い方でも魅せてくれる
今年の実績なら、今節のピカイチ。そう形容してもいいほどの活躍を、埼玉支部の浜田亜理沙選手は続けています。なんといっても、今年はキャリアハイとなる4つもの優勝を重ねました。
2013年9月に通算3回目の優勝をしたあと、産休で長期休業に入ったこともあり、4度目の優勝を勝ち取ったのは2022年6月のこと。ところが、2022年に2つの優勝歴を積み重ねただけで終わらず、2023年にはG3競走2つ、一般競走2つの合計4開催で優勝を勝ち取ってきたのだから恐れ入ります。
しかも、この4開催では2つが1号艇1コースからのイン逃げ優勝だったものの、「ガマゴリうどん杯争奪 ALガマの女王決定戦2023(蒲郡競艇G3)」では4号艇4コースからの差し、「マクール杯 ヴィーナスシリーズ第2戦」では4号艇4コースからのまくり差しと、ここぞという場面での逆転優勝を複数掴み取ってきました。
近走の成績も安定しており、3節前がまさしく優勝した「オールレディース 蛭子能収杯(大村競艇G3)」。2節前の「世界水泳2023福岡大会開催記念・第1戦(福岡競艇一般)」では2勝をマークし、前節の「レディースチャンピオン2023(津競艇PG1)」は予選18位タイで惜しくも突破ならずも、1勝に加えて6着が一度もないという安定感に満ちた競走を披露。
後段で詳しくお伝えするとおり、鳴門水面では技量が必要になります。だからこそ、こうした浜田亜理沙選手のすぐれた技能は、勝ち上がりに直結する要素になるでしょう。
ボートレース鳴門の水面特徴
四国に2つあるボートレース場のうちのひとつ、ボートレース鳴門。旧国名と同じ地名から、多くの人が「鳴門の渦潮」を連想するでしょう。鳴門の水面は、確かに決して攻略が容易でない特徴を備えています。
- 鳴門の水面は典型的なイン受難!小鳴門海峡のうねりが生み出す逆転劇
- 鳴門では2コースの1着率が低くて2着率が高い!3コースの好成績にも注目
これらに加えて、現時点で注目のモーターを2つ覚えておいてください。2023年8月上旬、間違いなくエースの称号を与えられるのが、「52号機」と「67号機」です。
52号機は全体的に性能が優れており、3連対率は70%にも迫ろうかというほど。7月末から8月頭までをまたいで開催された「アペックス杯競走(鳴門競艇一般)」でも、B1級である坂口貴彦選手が4日間8走で3勝するに至りました。
また、67号機の動きも大変良いものがあります。上記の同開催においては、A2級の堀本和也選手をオール3連対で優勝戦1号艇に導きました。優勝戦本番では、5号艇5コースの山田康二選手が技ありのまくり差しを決めたため、2着準優勝にこそ終わってしまったのは間違いない事実です。しかし、これで67号機は4ヶ月弱で3回の優出と1回の優勝を達成したことになります。今節も、そのゆくえに注目です。
特徴①/鳴門の水面は典型的なイン受難!小鳴門海峡のうねりが生み出す逆転劇
全国最大のイン受難水面として有名なのは、埼玉のボートレース戸田でしょう。しかし、「徳島のボートレース鳴門も負けていないぞ」と強弁できるレベルに、鳴門もまた1コース進入の艇が苦戦しやすい材料がそろっています。
なんといっても、戸田と近似している「スタートラインから1マークへ向けて、コースがどんどん狭くなっている」点が”大荒れを生む”要素です。
コースが狭くなれば、当然、各艇が選択できる戦術はどんどん少なくなります。スタートで少しでも立ち遅れたなら、ピンチは加速度的に膨らむでしょう。イン艇はターンしづらく、また精度も甘くなるのはもちろん、その懐を狙う差し艇にとっても”差し場がない”状況が生まれやすくなります。
このため、鳴門で最も力を発揮しやすいのは”まくり”、次に”まくり差し”と言えるでしょう。スタート勘、うねりに負けない整備技術、そこに全速戦の度胸が加われば、誰もが驚く番狂わせさえ起こせる水面です。
特徴②/鳴門では2コースの1着率が低くて2着率が高い!3コースの好成績にも注目
鳴門が「ボートレースはイン有利」の概念をボコボコにする水面であることは、数字を知ることで間違いのない理解に変わります。
なんといっても、昨年の6月から8月まで、夏季のコース別入着率が圧巻。1コースの1着率は”47.8%”という、相当な低確率に留まっています。同じ四国仲間の丸亀水面などは、同時期の1着率が60.8%ですから、同じ地区でもまるで環境が違うことが見えてくるでしょう。
今年5月から7月は、やや1コースの成績が改善傾向にあるものの、それでも1着率は”51.4%”です。また、それ以上に目立つのが、2コースの異様なまでの苦戦。2コース進入の1着率は”11.8%”で、これは3コース(14.8%)や4コース(13.3%)に劣後し、むしろ5コース(8.0%)にさえ近づいています。
反面、2コースの2着率は”29.2%”という、あまりにも偏った数字。3コースと4コースはレースが組み立てやすいためか、各着順が安定しているのに対し、2コース進入は「差すスペースがない。あと少しが届かない」といった嘆きの声が聞こえてきそうな状況です。
ただ、これは舟券検討において、確かな武器になるでしょう。2コース進入の予想される選手が、たとえ実力上位であっても本当に差しきれるのか。場合によっては4着まで敗れて、高配当の結末に至るのではないか。そうした推理を、確かなロジックのもとに導くことが可能になるのです。
ヴィーナスシリーズ第9戦 創刊30周年マクール杯競走(鳴門競艇一般)のまとめ
2023年8月のボートレース界は、「レディースチャンピオン2023(津競艇PG1)」と「ボートレースメモリアル2023(福岡競艇SG)」という2つのビッグレースを同時に迎えるお祭りモード。ボートの世界も夏フェスのような盛りだくさんです。
そして、グレードレースばかりが華でないのも、音楽のフェスティバルと同じでしょう。「ヴィーナスシリーズ第9戦 創刊30周年マクール杯競走(鳴門競艇一般)」は、その華やかさも高ければ、舟券の妙味度も最高レベル。暑い夏を熱いボートレースとともに過ごすなら、このシリーズは外せません。
ボートレース鳴門のアクセス
住所 | 徳島県鳴門市撫養町大桑島濘岩浜48-1 |
電話番号 | 088-685-8111 |
鳴門は長らくデイ開催のみのコースでしたが、2018年9月にモーニングレースを導入。現在も徳山や芦屋などとともに、モーニング開催の常連としてその名を見ることが多くなっています。
通常のモーニング開催では、「とるならなると」「どーなるなると」「どきどきなると」「とにかくなると」と企画レースも多彩であり、ファンからの人気を博している点にも注目したいところです。
電車・無料送迎バスでのアクセス
ボートレース鳴門の最寄り駅は、JR鳴門線の「鳴門駅」です。鳴門線の名称になっているように、この鳴門駅が同線の終着駅でわかりやすく、公共交通機関による旅も楽しめる立地と言えます。
鳴門駅からは、無料送迎バスでボートレース鳴門まで移動します。始発が鳴門郵便局であり、”鳴門駅でずっと待っているわけではない”点にご注意ください。鳴門駅から本場までの乗車時間はおよそ8分です。
自動車でのアクセス
ボートレース鳴門には、約1,300台ぶんの無料駐車場が用意されているため、自動車による来場にも適しています。風光明媚な徳島県鳴門市というロケーションもあいまって、遠方からの旅情にももってこいでしょう。
ボートレース鳴門の最寄りインターチェンジは、神戸淡路鳴門自動車道の「鳴門北IC」です。ここが四国に位置する境界線上のインターチェンジなため、上り線には「四国側最後の出口」という標識があることでも有名です。鳴門北ICから本場までの走行距離は約8分。利用しやすい位置です。