「公営ギャンブルは胴元が儲かる仕組みになっているから絶対に勝てない!」というロジックを聞いたことがある方は多いでしょう。確かに競艇も含めて公営ギャンブルは、お客さんの掛け金からある程度の割合のお金を自分の懐にしまっています。でも、それにはきちんとした理由があるのです。
今回は、公営ギャンブルなどの賭け事における「控除」の概念についてご説明するとともに、競艇の控除率について他のギャンブルなどと比較しながら解説していきます。正しい知識を得て、気持ちよく舟券を購入しましょう。
目次
公営ギャンブルなどにおける「控除率」とは
まずは、競馬や競艇などの公営ギャンブルや、宝くじやスポーツくじなどにおける「控除率」の概念について説明していきましょう。
「控除率」とは「テラ銭の割合」のこと
公営ギャンブルなどにおける「控除」とは、ひらたくいうと「テラ銭」のことをいい、すなわち「控除率」とは「テラ銭の割合」のことをいいます。
公営ギャンブルに慣れていない初心者の方は「テラ銭」という単語は耳馴染みがないかもしれませんね。「テラ銭」とは、お金を賭けられる側(親)とお金を賭ける側(子)がいる形のギャンブルにおいて、親側が賭けられたお金から差っ引く「手数料」のようなものです。例えば、宝くじの控除率はおよそ55%であるとされていますが、これはつまり、宝くじを購入した人全員の購入金額合計のうち53.7%に相当する金額が、宝くじを売る側の懐にそのまま収まることを意味します。
控除率はギャンブルを嗜む際に重要な要素
もちろん、控除された金額がすべてお金を賭けられる親の利益になるわけではなく、ギャンブルの運営費用などの必要経費にも充てられます。しかし、控除された金額の使い道が何であろうと、控除率が高いギャンブルほど賭ける側が受け取れるお金の金額が小さくなることを意味しますから、控除率の高さはギャンブルを嗜むにあたって重要な要素といえるわけです。
「公営ギャンブルは絶対に勝てない」はウソ?
公営ギャンブルファンの間では「公営ギャンブルは胴元が儲かる仕組みになっているから絶対に勝てない!」というロジックがまことしやかに語られています。それは、この「控除」という仕組みがあるからです。
確かにお客さん側を全員1つにまとめて考えた場合にはこのロジックは正しいのですが、実際には当然、お客さん1人1人で予想の的中状況は異なるので、お客さん側の中には勝つ人もいれば負ける人もいる、ということになります。つまり、「公営ギャンブルは絶対に勝てない」ロジックは厳密にいうと「公営ギャンブルは競艇場側が絶対に利益がでる」というロジックに言い換えれば正しくなるのです。
競艇の控除率は何パーセント?他のギャンブルとも比べてみよう
それでは今回のメインテーマである競艇の控除率について話をしていきましょう。他の公営ギャンブルや賭け事の控除率も合わせてご紹介していきます。
競艇の控除率は25%と法律で定められている!!
競艇の控除率25%となっていますが、実はこれは法律で定められた数字だということはご存じでしょうか。その法律とは「モーターボート競走法」。控除率についてはモーターボート競走法の第15条により「施行者は、勝舟投票法の種類ごとに、勝舟投票の的中者に対し、その競走についての舟券の売上金の額の100分の75以上国土交通大臣が定める率以下の範囲内で施行者が定める率に相当する金額を当該勝舟に対する各舟券に按あん分して払戻金として交付しなければならない。」と定められているのです。
ちなみに、競艇における他の様々なルールも、このモーターボート競走法に定められています。例えば競艇の舟券は「単勝式」「複勝式」「連勝単式」「連勝複式」などの種類がありますが、これはモーターボート競走法第14条により定められているものです。
競艇以外の公営ギャンブルの控除率を見てみよう
続いて、競艇以外の公営ギャンブルや宝くじなどの控除率を見てみましょう。まず、競艇を含めた公営ギャンブルの控除率は以下のようになっています。
・競艇:25%
・競輪:25%
・競馬:20~30%
・オートレース:30%
競艇以外の公営ギャンブルについても、競艇同様にそれぞれ法律で控除率が定められています。競馬の控除率に差があるのは、競馬は馬券の種類によってそれぞれ異なる控除率を設定しているためです(例:単勝20%、3連複25%、WIN5(ファイブ)30%)。ちなみに、日本中央競馬会(JRA)では、すべての馬券の控除率を20%としお客さんへの払戻率を最大化する「JRAスーパープレミアム」というサービスを一部レースで実施しており、このレースは競馬ファンにとっては狙い目といえるかもしれません。
公営ギャンブル以外の賭け事の控除率を見てみよう
さらに、公営ギャンブル以外の賭け事の控除率はこちらのとおりです。
・パチンコ・パチスロ:15~20%
・宝くじ:およそ55%
・スポーツ振興くじ(toto):およそ50%
パチンコ・パチスロの控除率が意外と低く、すなわちお客さんへの還元率が高いことに驚かれるかもしれません。しかし、実はパチンコ・パチスロの控除率は公式に公表されてはおらず、あくまで様々なデータや証言などを元にした「ウワサ」レベルのものです。実際の控除率をお客さんが知ることはできませんし、正直いって「控除率もっと高いんじゃ?」と感じるという方が多いでしょう。
それよりも驚きなのが、宝くじとスポーツ振興くじの控除率がかなり高い!ということでしょう。宝くじに至っては、売上金の半分以上が控除されてしまっており、お客さんの手元に戻ってくるお金(当選金)はたった45%となってしまっています。
実は、宝くじの還元率についても競艇などと同様に「当せん金付証票法」という法律で決まっており、なんと「当せん金付証票の当せん金品の金額又は価格の総額は、その発売総額の五割に相当する額をこえてはならない。」と定められているのです。これは、そもそも宝くじの運営目的が「地方財政に当てるための資金として確保すること」であるためだと考えられます。
競艇で控除されたお金の使い道
競艇では売上金の25%が控除されること、これは法律にのっとった厳正なルールであることはご理解いただけだでしょう。とはいえ、競艇ファンとしては自分たちの大事な賭け金を25%も持って行かれるのは納得いかないかもしれません。そこで、競艇で控除されたお金の使い道についてご紹介します。
全国各地の競艇場の管理運営
控除されたお金の使い道として、まずは全国各地の競艇場の管理運営コストが挙げられます。例えば尼崎市にある尼崎競艇場の平成25年度の会計を見てみると、およそ130億円ものコストがかかっていることが分かります。日本には競艇場が24か所ありますから、全体でなんと3,000億円近いお金が、競艇場の施設の維持管理に費やされている計算になります。
ボートレーサーの育成や賞金
ボートレーサーの育成や賞金といったお金も、控除されたお金の大事な使い道です。特に優勝賞金については、まず年末のグランプリが最高額の1億円に設定されています。そのほかのSG競走は1,700~3,900万円、G1競走は480~1,500万円、G2競走は450万円、G3競走は105万円以上、一般戦は74万円以上とそれぞれ設定されていますが、実は競艇においては1位だけではなく2位から6位まで賞金が与えられることになっており、非常に大きな金額のお金が必要となっているのです。
社会福祉活動
競艇は公営ギャンブルですから、地域社会への還元である社会福祉活動も重要な活動のひとつです。社会福祉活動には「教育」「土木」「消防」「保健衛生」「災害復旧」など様々な種類のものがあり、日本中様々な場所で競艇に賭けられたお金が社会福祉という形で還元されています。
まとめ
今回は、公営ギャンブルなどの賭け事における「控除」の概念についてご説明するとともに、競艇の控除率について他のギャンブルなどと比較しながら解説してきました。
賭けたお金が差っ引かれるのに不満を抱く競艇ファンもいるかもしれませんが、控除されたお金は競艇の管理運営であったり社会福祉活動などの大事なコストの資金源として活用されています。私たちが安心して競艇を楽しむことができるのも、この控除があってこそです。明日からも気持ちよく、競艇の舟券を買っていきましょう!