競艇漫画の金字塔!モンキーターンのあらすじからキーワードまで紹介
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競艇漫画の金字塔!モンキーターンのあらすじからキーワードまで紹介

UPDATE:2024.02.09
競艇雑学

競馬や競輪、競艇などといった公営ギャンブルは、公営とはいえやはりギャンブルですから、他の競技と比べて少年漫画の題材として扱われることが多くはありません。

それでも、これまでいくつかの漫画作品が少年誌において人気を博し、さらにアニメ化にまで至った作品もあります。特に競馬を題材とした漫画「みどりのマキバオー」は絶大な人気を誇り、連載開始から25年もたった現在も、公営ギャンブル関連サービスのイメージキャラクターに起用されるほどです。

そして公営ギャンブルの漫画としてもうひとつ、競艇を題材とした「モンキーターン」も大きな人気を博しました。そこで今回は、特に競艇初心者に向けて漫画「モンキーターン」についてネタバレにならない程度に解説していきます。

漫画「モンキーターン」のあらすじと登場人物

競艇 漫画 モンキーターン

まずは、「モンキーターン」の概要やあらすじについて紹介していくとともに、競艇初心者に「モンキーターン」をオススメしたい理由についても解説していきます。

「モンキーターン」とは

漫画「モンキーターン」は、「名探偵コナン」で有名な週刊少年誌「週刊少年サンデー」で1996年から2005年までの10年間連載されていた作品です。コミックは全部で30巻。後述するとおりアニメ化もされるなど、少年漫画においては扱いが難しいとされる「ギャンブル漫画作品」としては異例の人気を博し、多くのファンに支持された漫画作品です。

「モンキーターン」のあらすじ

漫画のストーリーは、主人公である「波多野憲二」が高校野球で挫折を味わうところから始まります。3年生の夏の大会でのとある失敗をきっかけとして「競艇」の才能を見いだされた波多野が競艇本栖研修所(現在は廃校)に入校。

本栖研修所での厳しい訓練からプロデビュー、そして競艇における最高峰のレース「グランプリ」に出場するに至るまで、大きなケガを負ってしまったり、強力なライバルが現れたりなど、苦難を乗り越えながら戦っていく波多野憲二の物語が描かれています。

ボートレーサーとしての成長はもちろんのこと、幼なじみである生方澄との恋愛や、同期であり名選手を父に持つサラブレッドの洞口雄大とのライバル関係といった人間模様も本作の見所です。

「モンキーターン」を競艇初心者にオススメしたい理由

もちろん、漫画作品としての面白さも「モンキーターン」の大きな魅力ですが、特に「モンキーターン」を競艇初心者にオススメしたい理由があります。それは、「モンキーターン」では基本的な知識から複雑な戦術あるいは技術的な話まで、競艇に関する様々な知識が分かりやすく紹介されている、という点です。

先述のとおり、「モンキーターン」は主人公の波多野憲二が競艇本栖研修所に入校する前からストーリーが始まっています。波多野憲二は物語の中で競艇に関する様々な知識や技術をイチから習得していくので、読者の方も漫画を読み進めながら自然と競艇について詳しくなっていくことができるのです。

もちろん、漫画で波多野憲二が入校する競艇本栖研修所が今は廃校となっているなど、現在とは事情が異なる点もいくつか出てくるのですが、それでも「競艇」という競技に関してスムーズに知識を仕入れていくという観点からは、「モンキーターン」はとても優秀な教材ともいえます。

「モンキーターン」の主要人物

ここからは、漫画「モンキーターン」において特に物語のメインパーソンともいえる4人の登場人物について紹介していきます。全30巻もある「モンキーターン」には魅力あるキャラクターが多く登場してきますが、今回はその中でも注目しておくべき人物をピックアップしました。

波多野憲二

波多野憲二

「モンキーターン」の主人公です。漫画は、波多野が高校野球で挫折を味わってから「競艇」の才能を見いだされ、競艇本栖研修所(現在は廃校)での訓練を経てプロデビュー、そして競艇における最高峰のレース「グランプリ」に出場するに至るまでが描かれています。

波多野の代名詞は漫画のタイトルともなっている「モンキーターン」。これはターンマークを回る際に全速力で駆け抜けるという高等技術(後述)であり、波多野というキャラクターをも表す重要なキーワードともなっています。

ちなみに、波多野憲二は実在の競艇選手「濱野谷憲吾」がイメージモデルとなっています。「モンキーターン」は、作者である河合克敏先生が取材に訪れた平和島競艇場にて、濱野谷選手のレースを観戦したことがきっかけとなって生まれた漫画だとされているのです。

生方澄

生方澄

波多野の同級生で幼なじみの女子であり、本作のメインヒロインです。実は波多野が競艇本栖研修所に入校する前から恋人同然のような存在として描かれていました。

しかし、波多野が本栖研修所に入校してからは離ればなれの生活となり、関係がなかなか進展せず。さらには青島優子(後述)というライバルも登場し・・・といった具合に、「モンキーターン」では波多野と生方の恋愛模様もストーリーの大事な要素となっています。

洞口雄大

洞口雄大

波多野憲二のライバルとして登場するのが、名選手・洞口武雄を父に持つ洞口雄大です。「転覆王」と不名誉なあだ名を付けられてしまうくらいに、本栖研修所入校当初はレベルが低かった波多野に対して、洞口雄大は非常に優秀なサラブレッド選手です。

その後実力をつけてきた波多野とは研修所卒業時の卒業記念レースで壮絶なレースを演じたり、卒業後も様々な場面で対決。本作の最後に描かれる「グランプリ」でもデッドヒートを繰り広げるなど、まさに永遠のライバルというべき存在です。

また性格面でも、人懐っこく義理堅い素直な性格である波多野に対して、現実主義的で他人の気持ちの変化にも疎い難しい性格の人物として描かれており、この点でも波多野との対称性が表現されています。

青島優子

青島優子

波多野憲二や洞口雄大らと同期の82期生として本栖研修所に入校してきた女子選手です。父の莫大な借金を返済するために競艇選手を志した、というバックグラウンドを持っています。女子選手ながら優秀な成績を収めて本栖研修所を卒業していくのですが、先述のバックグラウンドから「出場停止」を恐れるあまり、思い切ったスタートができずに悩んでしまう、というエピソードが描かれます。

青島優子を本作のキーパーソンとして挙げたのは、青島優子が本作の見所のひとつである「恋愛模様」に深く関与してくる人物だからです。詳しい説明はネタバレになるので避けますが、本作では波多野憲二、生方澄、洞口雄大、そしてこの青島優子の4人による様々な「くっついたり離れたり」がストーリーの軸のひとつとなっているのです。

ちなみに、青島優子は実在の2人の選手がモデルとなっているといわれています。1人は、主人公・波多野憲二のモデルとなった濱野谷憲吾選手の同期である中里優子選手。そしてもう1人が青島優子の「宮崎出身・福岡競艇場が拠点」という設定と共通点がある日高逸子選手です。

「モンキーターン」を楽しむ3つのキーワード

モンキーターン 3つのキーワード

漫画「モンキーターン」を読み進めていく上で注目しておいてほしいキーワードを3つ、ご紹介していきます。

キーワードその1:「モンキーターン」

漫画のタイトルになっている「モンキーターン」とは、競艇において選手がターンマークを回っていく際に魅せるワザの一つです。通常よりも前傾姿勢で立ち上がり、外側の脚に体重をかけることで通常のターンよりも速く全速力で旋回していく、というものなのですが、これが非常に難しいワザであり、「モンキーターン」の中では数多くいる競艇選手の中でも限られた選手にしかできないものとされています。

主人公・波多野憲二にとっては「ギャンブル」という競艇に対するイメージを大きく変えるきっかけとなったものこそが、先輩ボートレーサーが魅せたモンキーターンでした。その後、波多野自身もモンキーターン習得を目指すことになり、その後もストーリーの重要な場面で登場したり、モンキーターンをより進化させたワザも編み出されたりしてきます。

モンキーターンは、元々は乗馬における「モンキー乗り」という騎乗法が由来です。モンキー乗りとは、ひらたくいうと現在の競馬においてジョッキーがやっている「腰を浮かして背中を丸め前傾姿勢になる」騎乗方法のこと。この姿勢が木に登り枝をつたっていくサルのように見えることから「Monkey crouch(Monkey seat):モンキー乗り」と呼ばれるようになりました。

キーワードその2:「第82期生」

主人公・波多野憲二は物語の中で、本栖研修所の「第82期生」として入校します。物語の中では波多野が属する「第82期生」の選手が重要なキープレイヤーとして随所に登場し、大きな役割を果たしていきます。
競艇においては選手は養成所に入校した期でカテゴライズされて語られることが多く、例えば「モンキーターン」においては「ボートレースクラシック」という重賞レースに「第82期生」が大勢出場するなど優秀な世代として描かれています。

ちなみに、現実の競艇においても1991年11月にデビューした「85期」が突出して優秀な選手が多く、当時、世界最強とうたわれたサッカー強豪チームであった「レアル・マドリード」になぞらえて「銀河系軍団」と呼ばれています。

キーワードその3:「プロペラ」

「モンキーターン」を実際に読んでいくと、「プロペラ」に関する話題がとても多く出てくること、そして「プロペラの製作や調整も選手の重要なスキルである」という描かれ方がしていることに気づきます。これは、競艇においては2012年3月まで「持ちペラ制」という制度が採用されていたことが理由です。「持ちペラ制」とは端的に言うと、レースに用いるボートのプロペラを自分で準備するというルールのことであり、いかにして良いプロペラを準備するかも選手のスキルとして見なされていました。そのため「モンキーターン」ではプロペラの話題がよく登場したり、ストーリーの大事な部分になっていたりするのです。

しかし、現在は持ちペラ制は廃止されているので、選手のプロペラに対するスキルを競艇ファンが気にすることはなくなりました。しかし、持ちペラ制における選手の試行錯誤と努力は興味深い話ではありますし、さらに「モンキーターン」ではプロペラが主人公・波多野憲二の選手人生を左右する非常に重要な場面で使われているので、ぜひ注目してほしいです。

競艇漫画はモンキーターンだけではない!

今回は漫画「モンキーターン」についてあらすじから登場人物、そして物語を楽しむためのキーワードについても解説してきました。競艇の漫画として代表的な作品である「モンキーターン」ですが、競艇を題材とした漫画は「競艇少女」など他にもいくつかあります。

漫画は扱っている題材について詳しくなるには最適の教材です。特に競艇に興味があるけどまだまだ知らないことが多い、という初心者ファンであれば「モンキーターン」や「競艇少女」などを通じて面白楽しく勉強してみるのをオススメします!