ボートレース界では、自分の賞金を公益のために寄付して、天皇陛下から紺綬褒章を授与された選手が4名もいます。
その選手は、75期のA1級に所属する徳増秀樹選手、76期のA1級に所属する瓜生正義選手、90期のA1級に所属する吉田拡郎選手、92期のA1級に所属する毒島誠選手の4名です。
この記事では、紺綬褒章を授与された4人のボートレース選手の獲得賞金や成績、公益に寄付した内容について詳しく解説します。
目次
紺綬褒章(こんじゅほうしょう)とは?
紺綬褒章(こんじゅほうしょう)とは栄典のひとつに分類される褒章制度です。
栄典の授与は、内閣の助言と承認によって天皇が国民に対して行う国事行為で、そのうちの1つが紺綬褒章で「公益のために私財を寄附した者」の中から授与します。
ボートレース界でも、公益のために私財を寄附した選手は数名おり、寄付した年に審査のうえ、紺綬褒章を授与されています。
基本的に個人であれば500万円以上、団体であれば1,000万円以上の寄付をした人たちが対象となり、認定された人に褒章が送られる制度です。
寄付をする側は国や地方公共団体、又は公益団体に対する寄附が対象となります。
しかし、当然ながらこの紺綬褒章は寄付した人が全員選ばれるわけではありせん。
紺綬褒章は毎月1回発令され、それぞれの褒章にふさわしい功績がある人に対して、各府省の大臣などから内閣総理大臣に推薦され、内閣府賞勲局での審査をした結果、閣議決定の後、天皇陛下の御裁可を得て授与されます。
他にはどんな褒章があるの?
紺綬褒章はボートレーサーのように、公益のために私財を寄附した者に与える栄典ですが、他にも各部門ごとに褒章が異なり、全部で8種類存在します。
種類 | 授与対象 |
紅綬褒章(こうじゅほうしょう) | 自己の危難を顧みず人命の救助に尽力した方 |
緑綬褒章(りょくじゅほうしょう) | 長年にわたり社会に奉仕する活動(ボランティア活動)に従事し、顕著な実績を挙げた方 |
黄綬褒章(おうじゅほうしょう) | 農業、商業、工業等の業務に精励し、他の模範となるような技術や事績を有する方 |
紫綬褒章(しじゅほうしょう) | 科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方 |
藍綬褒章(らんじゅほうしょう) |
・会社経営、各種団体での活動等を通じて、産業の振興、社会福祉の増進等に優れた業績を挙げた方 ・国や地方公共団体から依頼されて行われる公共の事務(保護司、民生・児童委員、調停委員等の事務)に尽力した方 |
紺綬褒章(こんじゅほうしょう) | 公益のため私財を寄附した方 |
褒状(ほうじょう) | 褒章を授与されるかたが団体等である場合 |
飾版(しょくはん) | 既に褒章を授与されたかたに更に同種の褒章を授与する場合 |
褒章についてはあまり聞き慣れない方もいますが、ニュースなどでよく耳にするのは紫綬褒章を授与されるスポーツ選手です。
例えば、フィギュアスケート選手の羽生結弦選手、スピードスケートの高木美帆選手、砲丸投げの室伏広治選手などが褒章を授与されています。
また、その他にも文化人や棋士、映画監督や俳優など多くの方が授与されました。
紺綬褒章を授与したボートレーサー4名!
紺綬褒章を授与したボートレーサーは、以下の4名です。
- 徳増秀樹選手
- 瓜生正義選手
- 吉田拡郎選手
- 毒島誠選手
ここでは、それぞれの選手が寄付した内容や金額について詳しく解説します。
2019年に紺綬褒章授与した吉田拡郎選手
登録番号4166号で岡山支部に所属するA1級ボートレーサー吉田拡郎選手は、ボートレース若松で開催されたSGオーシャンカップにおいて準優勝した獲得賞金を平成30年7月に豪雨被害を受けた「倉敷市西日本豪雨災害義援金」に500万円寄付しました。
この功績が認められ、2019年に紺綬褒章を授与されています。
本人は「大きな災害があった直後にオーシャンカップがあったが、こんな大変な時にレースに行ってもいいものかと悩んだが、レーサーである自分は走ることしかできない。頑張って良い結果を出して、それを寄付しようと思いレースに参加した。今後も元気を与えられるようなレースをしていきたい。」と語っていました。
ボートレーサーとしてレースに勝って賞金獲得する使命と寄付する寛大な心に、岡山支部の熱いソウル魂を感じますね。
2020年に紺綬褒章授与した毒島誠選手
登録番号4238号で群馬支部に所属するA1級ボートレーサー毒島誠選手は、日本で自然災害が発生して被害がでるたびに、自身の獲得賞金から「災害復興特別基金」に寄付をしています。
2020年にこの功績が認められ、国土交通大臣からの推薦により紺綬褒章を授与されています。
本人は「レーサーである自分ができることは走る姿をお見せすることだけ。しかし、頑張っていい結果を残し、それを被災者に寄り添って活動されている方々への活動資金として寄付することはできるなと思いレースに参加している。今後も皆さまに元気をお届けできるようなレースをしていきたい」と語っています。
毒島誠選手が自身が獲得した賞金を自然災害が発生するたびに寄付をするのは、ボートレーサーとして格好良すぎますね。
2021年に紺綬褒章授与した徳増秀樹選手
登録番号3744号で静岡支部に所属するA1級ボートレーサー徳増秀樹選手は、令和2年7月に発生した九州豪雨被災地の復興支援および新型コロナウイルス感染症対策のため、自身の獲得賞金の一部を公益財団法人日本財団「災害復興支援特別基金」に寄付しました。
この功績が認められて、国土交通大臣の推薦により2021年の紺綬褒章を授与されています。
本人は「毎年、多くの災害に見舞われている日本で、人間1人の力は本当に無力だと感じますが、この寄付が少しでも必要な人のもとに届いたら、早く安心して生活できるようになると思っています。」語っています。
令和2年7月に発生した豪雨は、九州だけでなく、西日本や東北地方にも多くの被害を与えた災害でした。その災害を早く復興させようとする寛大な気持ちは素晴らしいですね。
寄付金額に関しての公表はありませんでした。
2022年に紺綬褒章授与した瓜生正義選手
登録番号3783号で福岡支部に所属するA1級ボートレーサー瓜生正義選手は、日本財団の実施している「夢の奨学金」という恵まれない子供たちへ手助け支援があり、生まれてきた環境で自分の夢を諦めてしまう子供たちに少しでも将来実現に近づけて欲しいという願望で寄付しました。
寄付の金額については公表されていませんが、個人での支援のため、最低でも500万円以上でしょう。
本人は「競艇場に遊びに来るファンの中では、将来ボートレーサーになりたい!と言ってくれる子供達がいます。そんな子供達に環境の壁を感じさせない未来を与えたい」と語っており、瓜生正義選手の子供に対する優しさが溢れていました。
紺綬褒章を授与した4名の2023年獲得賞金は?
ここでは紺綬褒章を授与した徳増秀樹選手、瓜生正義選手、吉田拡郎選手、毒島誠選手の2023年獲得賞金額について詳しく解説します。
この集計期間は2023年1月1日〜2023年10月26日までとなっています。
吉田拡郎選手の2023年獲得賞金
吉田拡郎選手の2023年獲得賞金は、6365万8000円です。
全ボートレーサーの中で、現在16位となっており、6000万円を超えているのは流石A1の上位で活躍してる選手ですね。
吉田拡郎選手のレーススタイルは、ターンのスピードが物凄く速く、1コースからの逃げや大外からの捲り差しが最大の武器です。
全速力でのターンに技術は高く、どのコースにいても1着に絡むような走りをするので、予想では目が離せない存在になります。
毒島誠選手の2023年獲得賞金
毒島誠選手の2023年獲得賞金は、7381万円です。
全ボートレーサーの中で、現在11位となっており、あと少しで獲得賞金上位10人になる勢いなので、今季最後のレースまで期待したいですね。
毒島誠選手がなんと言ってもツケマイを得意とするレーススタイルで、前艇にピッタリと並走して高速ターンをする瞬間はファンを興奮させます。
このツケマイが上手く決まるときは1着も多い選手ですが、スタートがあまり得意ではないことが有名で、調子の悪い時は予想が難しくなります。
しかし、3着には入る可能性がとても高い選手なので、無視できない存在です。
徳増秀樹選手の2023年獲得賞金
徳増秀樹選手の2023年獲得賞金は、4206万2000円です。
全ボートレーサーの中で、現在52位となっており、今年は想定していた順位より下がっています。
今年の徳増秀樹選手は2023年4月11日に行われたボートレース鳴門の「日本トーター杯競走」で優勝候補と言われていましたが、まさかのフライングで失格してしまいました。
このレースは新聞でも取り上げられ、2731万5400円が返還されています。
徳増秀樹選手のレーススタイルは、角からの差し込みで、5コースからの外差しが得意な選手です。普段からモーター整備を熱心に行う真面目な選手で、常に効率の良い走りを考えがえていると語っていました。
瓜生正義選手の2023年獲得賞金
瓜生正義選手の2023年獲得賞金は、4973万9000円です。
全ボートレーサーの中で、現在33位となっており、今年はあまり本調子ではないのかもしれませんね。
瓜生正義選手は、選手会会長に就任しており、過去の生涯賞金は25億7841万3291円と歴代賞金ランキングでも5位のレジェンドボートレーサーです。
過去の実績や経験を認められ、選手会長に就任しており、生涯獲得賞金を見るだけで、別格な選手だと感じます。
この金額を見るだけで、別格な選手だと感じます。
瓜生正義選手のレーススタイルは、ターン技術もスピードも一級品で、競艇場のコンディションで走り方を変えるのが特徴です。風や波の高さ、対戦相手のスキルなど全てを考慮して走り方を変えるのは、さすがレジェンドといったところですね。
まとめ
ボートレース界で、栄誉ある紺綬褒章を授与したのは、徳増秀樹選手・瓜生正義選手・吉田拡郎選手・毒島誠選手の4名です。
どの選手も自身の獲得賞金を公益のために寄付しており、ボートレーサーとして賞金を稼ぐ意味合いが異なり、「他人のため」という根本的な優しさが感じ取れます。
震災で困っている人や恵まれない子供達へ、少しでも生活が変われば良いと思い寄付している姿を見ると、ボートレーサーというより、1人の人間としても尊敬できますね。
さらには、自分がレースで勝って、その賞金を寄付することが自分のスタイルであり、使命だと感じている部分はすばらしいとしか言えません。
ボートレーサーの平均年収は4,000万円前後といわれており、4名の2023年獲得賞金を見ても平均を上回る金額になっているので、ボートレース界のレジェンドといえるでしょう。
今後もボートレーサーの中から、紺綬褒章を授与する選手が増えていく可能性は十分に考えららます。その時は、全力で選手達を応援していきましょう。